亡くなった父親の遺産をめぐる事例 - 豊中・吹田・箕面の弁護士❘大阪千里法律事務所

亡くなった父親の遺産をめぐる事例

依頼者

80代 女性 寝たきりで意識がない

相手方

子 3人

遺産

不動産:時価1億円(持分は7400万円) 預貯金:3000万円  株式:1000万円

依頼の経緯

依頼者の夫が1年前になくなっており、その夫の遺産を巡って依頼者の子(3人)がもめていた。
植物状態である依頼者が話し合いに参加することができなかったので、当事務所の弁護士が後見人に選任された。
元々は子の一人が自らを後見人に選任してほしいと裁判所に申し出ていたが、却下されていた。
依頼者の夫は元々店舗経営をしており、長男がその事業を継いでいた。預貯金も長男が占有。

事情

もめている原因は、経営を引き継いだ長男が店を承継していくために、「不動産と会社の株式をすべて欲しい。」と言っていた点、及び長女が経済的に困窮しており、「法定相続分以上の相続をしたい。」と主張していた点にありました。長男は「代償金として相当額を払ってよい。」とも言っていました。
次女は法定相続通りに相続できれば良いと考えていました。
依頼者夫婦は長女・次女に、「生前に満足な金銭を渡すので、遺産に関しては長男に全て相続させてやってほしい。」と言っていたようです。
依頼者夫婦は生前贈与として、長女・次女に対して3000万円ずつ金銭を渡している。しかし、長女は「3000万円は受け取っていない。」と否定し譲らなかったため、長男と長女の間で示談交渉が決裂しました。
弁護士としては、寝たきりの依頼者自身にかなりの預貯金があり、法定相続分通りにもらえれば特に問題はありませんでした。不動産持分・株式に関して長男が取得することに誰も異存はありませんでした。
依頼者の立場としては、不動産持分の2分の1の他に2500万円程度もらえればよかった。次女は生前に贈与を受け取っていたので「1000万円で良い。」と言いましたが、長女は「生前贈与はなかったから5500万円。」と主張して譲りませんでした。
一番欲が薄く、第三者的な立場であった次女に、「長女が3000万円を生前にもらっている。」旨の陳述書を書いていただきました。自らの利益を省みずに対応をする次女の陳述書によって、調停委員が当方・次女の味方につき、最終的には長女が2635万円を受け取る形で調停が成立しました。
取得分はそれぞれ、依頼者父の不動産の1/2と2500万円、次女1000万円、長男:父の不動産の持分の1/2と株式(代償金支払)。
最も欲が薄く、第三者的な立場の次女に陳述書を書いてもらい、調停員を味方につけたところが解決のポイントとりました。長女が2635万円を取得するとなると、自分が1000万円しか受け取れないことついて次女も不満がありました。しかし、自分が反対してはいつまでも相続問題が解決することはないということで、次女に譲歩していただきました。