相続人の一人が、土地建物の売却に応じなかったので、共有物分割訴訟を提起し、ほぼ勝訴と同じ内容で和解が成立した事例 - 豊中・吹田・箕面の弁護士❘大阪千里法律事務所

① 相続人の一人が、土地建物の売却に応じなかったので、共有物分割訴訟を提起し、ほぼ勝訴と同じ内容で和解が成立した事例

Cさんの妹(被相続人)が土地建物(時価6000万円)と預貯金を残して亡くなりました。相続人は10人です。
10人で協議して不動産は売却換金し預貯金とともに相続人に分配する。」という遺産分割協議書を作成し、預貯金は遺産分割書どおり分配しました。
その後、不動産を売却換金しようとしていたところ、郵便物から被相続人には火災保険の満期返戻金があることが判明しました。Cさんは全相続人にそのことを伝え、この満期返戻金も遺産分割書どおり分配しようとしました。
ところが相続人の1人Xが、「被相続人が所有していた動産をCさんが隠匿している。土地建物の売却に応じない。」と主張してきました。Xが反対したままでは土地建物を売却することができません。困ったCさんは当方に相談に来られました。
Xの主張は具体性もなく証拠もありませんでした。自分の取り分をもっと多くするため主張しているとしか思えません。しかし、Xの同意がなければ土地建物を売却することは不可能です。
そこで土地建物については共有物分割訴訟を提起することにしました。裁判所に「競売で換金して遺産分割書どおりの割合で分割する」という判決を求めるのです。
幸いCさんは相続人の過半数以上の方の協力が得られましたので、Xが反対したとしも勝訴できます。他方、新に見つかった満期返戻金については遺産分割調停を申し立てることにしました。
法定相続どおりに分割することを求めるのであれば、Xを含む全相続人の同意を得られると考えました。
争ってもCさん勝訴となるため、Xは共有物分割訴訟については反対せず、勝訴判決とほぼ同一の内容で和解が成立しました(当方が土地建物を売却換金することになりました。)。
遺産分割調停では、Xは「Cさんが遺産を隠している。」と主張して譲りませんでした。
しかし何を隠匿していると主張しているのかXは全く明らかにできませんでした。
当方と裁判官が「何を隠匿しているのかXが立証できない限り、審判しようが裁判しようがあなたが勝訴することはできない。」と説得した結果、Xはしぶしぶながら「満期返戻金を法定相続どおり分配する。」という調停に応じました。
その後、当方が土地建物を売却換金し、Cさんは売却代金から遺産分割書どおりの割合の金額を取得されました。